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【クライアント向け通信】Vol.6 発行月2010年11月

やさしい手【連載】職員の人財教育と育成術 【全6回】

第6回「人事考課」
(株) SHE 代表取締役 石郡 英一

「職員人材教育と育成術」をテーマとした連載も、いよいよ最終回を迎えることとなった。最終回のテーマは人事考課について述べてゆこことにする。

職員人事教育と育成術に欠かせないものの一つに人事考課がある。なぜならば、人事考課の目的は、従業員のやる気を導きだすことにあるからである。 人事考課は、けして経費削減のために給料を下げるためのものではなく、ましてや他者と比較するためのものでもない。 人事考課によって介護従業者を評価し、評価することによって、介護従業者のやる気を喚起し、行動化できるよう教育し、育成することが目的である。

介護従業者のやる気を導きだす要因には、心の内側からやる気が沸きあがってくる動因(ドライブ)と、心の外側からやる気を導いてくれる誘因(インセンティブ)とがある。 この動因と誘因とを合わせてやる気(モチベーション)となるのである。よって、人事考課もこの動因と誘因とに働きかけるようにしなければならない。

介護従業者の動因への働きかけとして有効なのは、「愛情」「尊敬」「価値観」「承認」「技術の向上」「資格」などである。 しかし人事考課に於いて、こららの動因を直接的に評価することは難しいので、各項目に於いて工夫が必要となる。

例えば「愛情」を評価するにはどうすればいいのか。上司が「あなたは私に優しいから、評価を高くします」では、公平性、具体性に欠ける事ぐらい誰にでも理解できるが、評価のツールを作るとなると難しい。

そこで「愛情」などの、曖昧模糊とした動因に至っては、コンピテンシーの評価をお勧めする。コンピテンシーとは、優秀な社員が取る行動特性のことであり、 具体的には「対人関係行動の良し悪し」「モラル行動の善悪」「業務行動の良否」などが挙げられる。

以上のことから、具体的に「愛情」といった動因を評価すると、「対人関係行動の良し悪し」といった大枠から、「理解、受容、共感」という項目を作成し、 さらに「人の話の腰を折らず、最後まで聞ける」とか「相の目を見て、笑顔で人の話を聴ける」などの具体的評価項目を作り、評価するのである。 具体的にツールを作れると、愛情を形にして評価しているといえる。

「そんなことは形だけだ」と批判する人もいるが、80年余という世界一長い結婚生活のギネス記録を持つアロースミス夫婦は、 「結婚生活を継続させる秘訣は?」という問いに対して「毎日のキスと、寝る前のハグ」だと、心を形で表現することを挙げているのである。 つまり、愛情の形を身につけることは、すなわち愛情表現と捉えてよいのである。よって、愛情表現を身につけている介護従事者を、 「あなたの傾聴の態度は、とても愛情に溢れ、人を包み込んでくれる」と、人事考課によって評価できれば、その介護従業者の動因は頗る挙がり、やる気へと導くのである。

同様に、「尊敬」ならば、「お客様ならびに、業務中の従業員同士の会話では、常に敬語を用い、パラ言語に留意できている」(人間関係)「お客様との約束は時間厳守」(モラル)といった具合に、 「価値観」ならば「おむつ使用者がお客様全体の2割以下に減少するよう、トイレ誘導等工夫する」(理念)とか「当日急に休まない」(モラル)といった具合に作成するのである。 また、これらのコンピテンシーの評価は、「技術の向上」にも活用できる。

この様に動因を評価することによって、良い評価をもらえたものは「昇給」や「昇格」という誘因につながるシステムを作れば、 承認の欲求が満たされ、よりよいやる気(モチベーション)のサイクルが確立してくるのである。

しかしこの時注意しなければならないのが、評価の際他者と比較をしないということである。 「誰々に比べれば、まだまだだね。Aさんのようにやれるようになって下さい」などと、他者との比較を、評価基準にしないことが重要である。 あくまでも当該対象者のみを評価する「オンリーワン評価」をすることが、よりよいやる気(モチベーション)のサイクルを導く秘訣である。 さらに工夫を加えるのばらば、人事考課を行う際は、できるだけ複数人で行い、具体的項目に於いて評価し、かつ評価に偏りがないように留意するとよい。

最後に、この度「職員人材教育と育成術」をテーマに、「教育の基本」「実践教育」「教育プログラム」「サービス教育」「労務教育」、 そして今回の「人事考課」と、全6回を書き記して参りましたが、これらの内容が皆様方の職員人事教育と育成に深く関与できれば幸甚に存じます。 また執筆の機会を与えて戴いた“やさしい手”の関係各位に感謝致します。

お客様からいただいたご質問派遣法Q&A

当施設は、介護職の派遣を受け入れてもうすぐ抵触日(3年)を迎えます。3年以上は派遣は使えない事は知っていますが、今の派遣スタッフがいなくなるとシフトがまわせません。 派遣会社に相談したところ「3ヶ月間パートとして直接雇用し、4ヶ月目から派遣に戻せば、3ヶ月のクーリング期間がとれるので大丈夫です。」と提案を受けています。これって本当に大丈夫なんでしょうか?

ダメです。職業安定法第44条違反となります。労働局は、抵触日(3年)を迎える場合の、質問にあったような対応策に対して次のような見解を示しています。 「派遣先で今まで受け入れていた派遣労働者を直接雇入れる場合でも、3ヶ月のクーリング期間終了後に、その派遣労働者が再び派遣労働者として派遣先に従事することが、 合意されている場合、又は説明において明らかにされている場合は、派遣会社及び直接雇入れた派遣先双方とも職業安定法第44条違反(禁止されている労働者供給事業とみなされる)となります。」
ご不明な点は、やさしい手担当者までお問合せください。

YSウェブ 理学療法士 作業療法士