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「摂食嚥下障害領域」 Vol.6 2010年 2月 口蓋ってなに?

青山寿昭さん

愛知県立がんセンター病院
青山 寿昭さん

 

看護師16年目、摂食・嚥下障害看護認定看護師をしています。 飲み食いが好きで、摂食・嚥下に興味を持ったのは8年ほど前でした。 平成18年に人の勧めで認定看護師になりました。 勤務先は愛知県がんセンター中央病院で主にがん患者への嚥下障害に関わっています。

 

口蓋って聞きなれませんがどこなのでしょうか?
昔から“のどちんこ”と言われている口蓋垂、口蓋垂は口蓋の中でも軟口蓋の一部です、
昔から何をするところか疑問に思っていた人は多いのではないでしょうか?
僕もその中の一人でした。

口蓋とは上歯槽部から口蓋垂に至るまでの口腔内の上壁を言います。
その中でも硬口蓋と軟口蓋に分かれ、硬口蓋は名前の通り硬い口蓋で上顎骨の裏打ちがある部分です。
対して軟口蓋は骨の裏打ちがなく、名前の通り軟らかい部位になります。
指で触ってみると分かりますが、固いところが硬口蓋で柔らかいところが軟口蓋です。
役割は違い、一般的に硬口蓋は嚥下時に舌が強く押し当てられて食塊を咽頭に送る補助をしていると言われています。
その他に食塊の物性を判断しているとも言われています。
対して軟口蓋は咽頭に送られた食塊が鼻腔に行かないように鼻腔と咽頭腔を遮断する役割をしています。
その他にも軟口蓋は発声時に呼気が鼻に抜けないように鼻腔と咽頭腔を遮断することもしています。
この動きが上手くいかない場合は鼻から出てきたり、嚥下圧がかかりませんからのどに食塊が残留したりします。

 

評価方法は構音・軟口蓋の動き・息を吹いた時の鼻からの漏れで評価できます。
ほとんどの構音は軟口蓋が閉鎖した状態で発声されますが、「マ」行・「ナ」行は鼻音と言われ、鼻腔と咽頭腔が開閉します。
軟口蓋の動きが悪いと開鼻声と言われ、鼻にかかった声になります。
よく似た声に鼻づまりがあります、鼻づまりとの区別は鼻をつまんだ時に声が変わるかどうかです。
声が変われば開鼻声で変わらなければ鼻づまりだと言えます。
軟口蓋の動きは口をあけた状態で「アッアッアッ」などと発声し、その時の軟口蓋の左右差をみる方法です。
麻痺側の軟口蓋は動きませんので片寄った逆側が麻痺と判断します。
息を吹いた時の鼻からの漏とは、ストローでコップの水をブクブク吹いた(ブローイング)時などに鼻の下に鏡を差し込み、
曇りの状況などで判断できます。
訓練は一般的にブローイングなどの吹くことに抵抗をつける運動が主です。
凍らした綿棒で軟口蓋を強くマッサージすることも効果的だと言われています。
軟口蓋の運動を主に支配するのは迷走神経で、迷走神経は咽頭や喉頭の感覚や運動を支配していますので、
軟口蓋の運動が悪い場合は咽頭・喉頭の評価も必要になってきます。

 

口蓋はよく痰がへばりついている場所でもあります。
寝たきりの患者さんは口腔機能が悪く、口腔内まで喀出した痰を口腔外に出せずに口蓋で乾燥してしまう事も多々ありますよね。
寝たきりの患者さんはかなりの高確率でへばりついています。
口腔ケアのときは初めに水分で湿らせて柔らかくした後に行う方が良いでしょう。
しかも口蓋は意外に敏感でそっと触るとこそぐったいですね。
強めの力で清拭することを進めます。

上顎癌の患者さんは上顎骨を切除しますので口蓋を欠損します。
口腔内の上壁の欠損ですから嚥下障害にはならないのではないかと思いましたが、意外に飲みにくいと訴える方が多いものです。
検査をすると嚥下反射のタイミングが悪い方が多いのが印象的です。
理由ははっきりと分かりませんが、口蓋で物性を判断できなくなっている事と送り込む感覚が変化しているのではないでしょうか。
棒のついた飴を舐めて訓練してみると良くなる事が多いです。
口の中で飴を転がしているうちに新たな口腔内の感覚を学習できたからではないかと思っています。
どこの組織も同じですが、どうしても組織の動きばかりに目が行きがちです、
感覚を感じないと反射は起きませんので知覚や感覚も重要みたいですね。

 

軟口蓋の動きが弱いと一回の嚥下量が多かったり、食塊の粘度が低く拡散しやすい食物は鼻腔への漏出を防止しようと
軟口蓋がより機密に運動しようとするとも言われております。
食形態の選択としては粘度がある程度高い物(ゼリーやとろみ水)でかつ少量ずつ摂取するように心がけることが良いのではないかと考えます。
その他、啜ったり吸ったりすることが苦手になりますので麺類やストローで吸うシェイクなども飲みにくいでしょう。
ただ、啜ったり吸ったりしなければ良いわけですから、摂取する方法を変化させれば麺類もシェイクも食べることができるのではないかと思います。

硬口蓋と軟口蓋は同じ口蓋ですが違った役割をしています。
軟口蓋が動いているところはあまり目にすることはないと思いますが、地味に構音や嚥下に深く関わっています。
ポテトチップスを食べると舌は痛くなりませんが硬口蓋は痛くなるのは僕だけでしょうか?
それだけデリケートなところなのでしょうね。今後はデリケートな部分が痛くならないように労わりたいと思います。

 

 

「看護どっと合言葉」より転載

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