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「摂食嚥下障害領域」 Vol.12 2010年 10月 頭頸部がん術後訓練の進め方

青山寿昭さん

愛知県立がんセンター病院
青山 寿昭さん

 

看護師16年目、摂食・嚥下障害看護認定看護師をしています。 飲み食いが好きで、摂食・嚥下に興味を持ったのは8年ほど前でした。 平成18年に人の勧めで認定看護師になりました。 勤務先は愛知県がんセンター中央病院で主にがん患者への嚥下障害に関わっています。

 

僕は頭頸部外科病棟で勤務をしております。頭頸部がんなんて聞き慣れないがんだと思います。
頭頸部ですから脳も入るようなイメージがありますが、頭頸部というのは脳や脊髄、眼窩内を除く顔面頭蓋から頸部にかけての部位と定義されるようで、主に口腔・咽頭・喉頭・甲状腺などのがんです。
頭頸部がんにおける嚥下障害は腫瘍の増大によるものもありますが、ほとんどが手術療法や放射線療法などの治療によって起こる嚥下障害です。
頸部がん術後の嚥下障害は欠損による障害で、脳梗塞などの脳血管疾患とは違い、器質的な障害と言えます。
欠損部位は皮弁などで再建されますが、基本的には欠損部の機能が回復することはなく、残っている機能で代償していきます。

術後の嚥下訓練は脳血管疾患の患者さんとは少し異なります。
脳血管疾患などの場合は翌日からでも口腔ケアを中心とした積極的な訓練を開始します。
しかし、頭頸部がん術後の遊離皮弁を使用した患者さんの場合は皮弁の生着を優先させます。
皮弁はおよそ1週間程度で生着しますので、その間皮弁へのストレスを避けるために積極的な訓練は行えません。 口腔ケアは術後の創感染を防止すると言われており、口腔ケアを中心とし皮弁の生着を待ちます。
皮弁はデリケートですので嚥下訓練の開始は主治医の許可を得て訓練を開始する必要があります。
当センターの場合はトラブルがなければ術後8日頃から間接訓練を開始し、術後10日前後に嚥下造影検査(VF:Video fluorography)を施行し、 その結果で直接訓練を検討します。直接訓練は障害に合わせた食形態を提供し、開始時は看護師が必ず付き添って開始します。
食形態を上げる場合は数日間観察し、むせの状況・熱型・痰の量・時間・摂取量などから考えます。
経口摂取を開始した場合、栄養方法が経腸栄養から経口へ変化してカロリーコントロールをしにくくなりますので、栄養状態には注意が必要です。
食事回数を増やし、3食経口摂取ができたら食物形態や家族支援などを検討しながら退院になります。

 

頭頸部がん術後の嚥下障害はある程度術式から障害を推測できますので、術式を把握することは重要です。
例えば下咽頭部分切除・頸部郭清・前腕皮弁・気管切開術の患者さんの術式から嚥下障害を推測すると図1のようになります。
そして、実際に切除された組織や神経も把握しておくとさらに有効な訓練を行えると思います。
また、下咽頭がんは再建方法によっては食塊の咽頭通過側をコントロールする必要があり、手術記録などから再建方法の情報収集はしておきたいところです。
嚥下訓練は意識レベルが良いこととADLが拡大しているため、自分で行える患者さんも多く、患者さんも大切なセラピストです。
しかし、すべてを任せてしまうと「面倒くさい」「忘れていた」などの理由で正しい方法で行えないことや、実際に訓練を行わない患者さんもいます。
また、続けるうちに勝手にアレンジされてしまう場合もありますので、正しい方法や時間などを確認せねばなりません。

嚥下訓練が進み、3食の食事を摂取できたら退院になる場合がほとんどです。
3食経口摂取を目安としますが、患者さんの家庭状況や術式から食形態のゴールを設定します。
退院時の食形態は最終的な食形態ではなく、皮弁や創部の回復が回復すると嚥下機能も改善するので食形態も良くなる可能性があります。
改善に1 年程度かかる場合もあり、訓練の途中での退院になることも少なくありません。
そのため、外来でのフォローは重要だと感じておりますし、もう少し外来が充実する必要があると思っています。

がん患者さんは再発や予後などの不安を感じながら障害と向かい合います。
頭頸部がん術後の嚥下障害は時間が経てば改善すると言われたこともあります。
しかし、僕は再発や予後を考えると出来るだけ早く退院してより良い時間を得られるようにリハビリをしていくことは大切なことではないかと思っています。

画像
図1

 

「看護どっと合言葉」より転載

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